交通・都市Urban Transportation

2020.3 - 2024.1

プロジェクト名

ダッカ市都市交通料金システム統合のためのクリアリングハウス設立プロジェクト(フェーズ2)

  • ICカード
  • クリアリングハウス
国名:バングラデシュ
地域:南アジア
発注者:JICA

バングラデシュの首都ダッカとその周辺域において、SUICAやPasmoのような交通系ICカードを導入するため、バングラデシュ政府を支援するプロジェクトである。ダッカは世界的にも交通渋滞のひどい地域で、大気汚染も深刻な問題となっているため、バングラデシュ政府は状況の改善に向けて、BRT(バス高速輸送システム)やMRT(大量高速輸送システム)等の大量輸送インフラを整備している。日本の円借款がバングラデシュの交通機関の整備に活用されており、2022年12月にバングラデシュで初の都市鉄道MRT6号線が一部開業した。
こうした交通機関に現金を使わずに乗車できる交通系ICカードシステムを導入することで、ボロボロの紙幣を使わなくてすみ、小さい金額での割引ができたり、釣り銭が不要になったりと利用者にとっても事業者にとっても、デジタル化のメリットを享受できるデジタルトランスフォーメーション(DX)といえる。男性に触れることが禁忌のイスラム教徒の女性にとっても、現金の受け渡しがなくなるため、歓迎されている。

 

便利であるが、複数の交通機関に統一したICカードシステムを導入するためには、仕様とデータを一元管理し、利用者から預かったお金を利用状況に応じて適切に交通事業者に分配する仕組みと組織が必要である。これを担うのがクリアリングハウス(CH)と呼ばれるものである。
交通系ICカードの試験導入は、こうした大量輸送交通機関が計画段階だった2014年に遡る。KEIはNECとともに、ICカードの仕様を設計して、バスを対象とした試験運用にこぎ着け、あるべきCHの組織の形を提言した。ICカードは、ハシナ首相によりRapid Passと名付けられた。

 


Rapid Pass
バス・MRT等の複数の交通機関を横断して利用可能な交通系ICカードとして導入された。
Suicaと同様にSONYが開発した非接触ICカード技術(FeliCa)が採用されている。

 

本プロジェクトは、その継続プロジェクトで、MRTがICカードを導入できるようにCHシステムを仕様変更して改善するとともに、新たにCHを運営する組織の設立を支援した。今度は、バングラデシュでの工業団地開発などに実績がある日本開発政策研究所(JDI)と共同して業務にあたっている。
カウンターパートは、いずれのプロジェクトもダッカ交通調整局(DTCA)である。

 

Rapid Passは、整備中のBRTや多くの市民が利用する市内バスに広く導入される予定で、さらには、新たに設立する組織により、小売店等での利用拡大が進められる見込みである。

 


実際のシステム運用に向けたトレーニング
CHSの管理・運用方法をDTCA、協力会社のスタッフへトレーニングしている様子。

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