JICA民間連携事業JICA’s SME/SDG Business Support Program
2021.5 - 2024.6
プロジェクト名
薬剤師継続教育及び国家試験開発事業
- ICT
- 医療
キルギスでは、社会インフラの老朽化が深刻な問題となっており、保健・医療に関しては、癌、心疾患、脳血管疾患、糖尿病、慢性呼吸器疾患などの非感染性症(以下、「NCD」という)が全死亡原因の80%を占め、医療費、社会支援、福祉費用の急激な増加、労働生産性の低下とNCDの罹患による離職等によって、国内経済への負担増を起こしている。さらに、キルギスでは、患者が医療機関を受診せず、薬局で直接薬を購入することが主流化しており、また、薬剤師は処方箋がなくても薬剤を自由に販売する傾向があることから、薬剤成分や副作用の基本的な知識の不足による、処方の事故が懸念されるとともに、薬剤師の知識の向上が必要とされている。
これを受け、キルギス国政府はNCD対策及び医薬品流通の改善策としての医療従事者の能力向上を目的とした継続研修を2018年から現職薬剤師にも義務付け、薬剤師の倫理、知識、技術向上に向けて、プロフェッショナルスタンダードの開発にも取り込む一方、教材や教員の不足や、医療研修が主に都市部で実施されていることによる地方での医療教育へのアクセスなど、課題に直面している。
この課題に対しキ国政府は「2019~2030年の公衆衛生・保健制度整備のためのプログラム『健康な人間-繁栄する国』」を発表し、2030年までにICTの活用により全医療従事者の研修・教育へのアクセスを容易にする方針を出した。これを受けて保健省ではIT担当部を設置して医療分野へのICT導入に積極的に取り組んでいるが、国家予算の不足から、支援機関や民間企業への依存度が高く、キ国における取り組みは進んでいない現状である。
かかる状況下、2019年度に実施した案件化調査において、薬剤師教育のノウハウが同国における現職薬剤師の能力向上に一定の効果があることを確認した。本事業では、トライアル研修の実施を通じて、これらのノウハウの現地適合性を確認し、キルギス国における、現職薬剤師の能力向上と、薬剤師のPSの策定並びに薬剤師の国家試験の導入への貢献を目指すととともに、薬剤師の継続研修にかかるビジネス展開計画案を策定する。
国家試験実施 2022度
E-learningによる薬剤師向け研修 2021年
事業内容一覧